中島裕翔「#マンホール」Nante Japanインタビュー

本ページはこちらの記事の個人訳です。

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原文の意図などを完全には汲み取れていないことをご承知置きください。

 

 

中島裕翔「#マンホール」Nante Japanインタビュー

Hey!Say!JUMPの中島裕翔主演の映画「#マンホール」は、今年2月に日本で公開されて以降、ベルリン国際映画祭での上映も含めて、世界中に広がっている。今週はニューヨーク・アジアン映画祭でも上映が行われた。上映に先立って、中島さんとZoom上で対談を行い、「映画について」「彼の役作りについて」「役者として何がしたいか」についてお話しした。

※注意:このインタビューにはネタバレを含みます!※

 

この役を引き受けようと思った理由は何ですか?

理由はたくさんあります。まず、このようなジャンルの映画は日本ではそれほど制作されていないので、自分にとっても日本の観客にとっても、新しい経験になると思いました。また、今まで演じた役とは違う、新しい自分の姿を見せたいという思いもありました。これまでは好青年を演じてきたので、それとは全く違う役を演じてみたら面白いと感じました。それに、ダークな感情を持った川村を自分のようなアイドルが演じることで、自分のパブリックイメージと川村のギャップを演出できると思いました。プロデューサーがこの映画に僕をキャスティングしたのも、そういった理由があると思います。観客に対してそのギャップが上手く作用するので。

 

最近、「(中島さんは)いつも笑っている」という内容のツイート を見かけたのを思い出しました。「もしこの映画を観たら、全く違う印象を持つだろうな…!」と思います。*1

そうですね、本当に正反対ですね!この役で、観客を騙すのは楽しかったです。

*1 元ページには一般人のツイートへのリンクが貼られており、リンク先にはライブ映像の切り抜きが載せられていました。いいのか…!?(敢えてここには貼りません)

 

この役のために、どのように準備しましたか?

3日間水を飲まないようにしました。

 

3日間ですか?!

そうですね、それを2度やりました。3日間を別々のタイミングで2回です。映画の前半と後半で自分の顔の印象を変えたかったので、水を飲みませんでした。

 

外見的に、どのように変化しましたか?

顔が完全に細くなって、ダイエットをしたみたいになりました。効果があったと思います!それと暗いセットに居続けることは、思っていた以上に大変でした。異なる表情を見せないといけなかったので、ビジュアルの変化を出したかったんです。

 

マンホールの中での撮影は、どのような感じでしたか?

実は、マンホール上部と下部の2つのセットがありました。本当に強烈でした。汚くて、臭いがキツくて、すごく怖かったです。また、思っていたよりも狭かったです。最初にスタッフさんからセットの写真を見せてもらった時は、「そんなに狭くないし、まあ大丈夫か」と思ったのですが、その写真は広角レンズで撮られていたので、実物は想像よりももっと狭かったです。セットの中で動き回るのは本当に大変でした。かろうじて座れるぐらいだったので、そうですね、大変でした。

 

マンホールの中は本当に汚く見えました。泥だらけというか……。

はい、泥だらけですね。それに蜘蛛の巣もありました。

 

本物の蜘蛛ですか?

いえ、本物ではなく、セットに雰囲気を出すための作りものです。美術さんの頑張りが素晴らしかったです。

 

泡の中での撮影はどうでしたか?

ああ......泡ですね......。撮影はとても大変でした。泡の中にいる間は、息を止めていないといけなくて。それに、泡をより汚く黒ずませるために、美術さんが海苔と鰹節を足していたので、お好み焼きみたいなにおいがしていました。それはもう最悪でしたね!

 

お好み焼き、嫌いなんですか?

いやいや、お好み焼きは好きですが、マンホールの汚い泡と混ざったものだと話は別です。臭いがとにかく尋常じゃなくて、とても異様でした。これほどまでの量の泡に囲まれたことは無かったので、新しい体験でした。

 

泡で溺れることは無いと思っていたのですが、体内に入ったら溺れることもあるのだと気付きました。窒息してしまう、と…。

そうですね。水の中にいるような感じで、泡の中では息ができないので息を止めないといけませんでした。長回しで、監督がカットと言わなかったので、「これはいつまで続くんだ?」と思いながら泡の中に居ました。数分間、そのような状態が続きました。

 

長回しだったんですね?

そうですね!

 

劇中のように爆破させずに、単純に泡をどかした方がいいんじゃないかと思いました!*2

そう思います!

*2 原文は"I guess it's better to just get it out of the way"で、グレーの部分追加しました。どうにかなる量の泡だったかは別として、本当にそれはそう。吉田ァ......。

 

映画についてもっと考えていたのですが……梯子を登るシーンはどんな感じでしたか?

梯子が入る画角や立ち位置がとにかくたくさんあったので、かなりの回数登らないといけませんでした。上部のセットでは登るためのロープを使えましたが、梯子自体は汚くて錆びついていたので、握るのも痛かったです。

 

マンホールの奥深くまで、梯子から落ちるシーンがありましたね。その撮影はどうでしたか?毎回落ちないといけなかったのですか?

僕が何度か落ちるシーンでは、監督はCGを使わないと仰っていたので、実際に落ちています。まず梯子を登って、落ちて、監督が「カット!」と言ったら、マンホール下部のセットにカメラのアングル変えて、全てをもう一度やり直しました。

 

ということは、それぞれの落下シーンは2回の落下からできているということですか?

そうです!

 

それはかなりの落下回数ですね。撮影期間中に、何回落ちましたか?

数えきれないですね。かなりの回数でした!

 

痛かったですか?

いえ、しっかり安全な方法で撮りました。下には巨大なクッションが用意されていて、全てが非常にプロフェッショナルで安全でした。

 

脚の裂傷をホチキスで留めるシーンですが…!どのような感じでしたか?そのシーンでは、何を考えていましたか?

シリコン製の特殊メイクに、メイクさんがたくさんの血糊を使って作りました。実際に怪我をしたわけではないのに、本当の怪我のように感じました。

 

時間が経つにつれて、自分の脚の一部のように感じたのですか?

そうですね、次第に。

 

では、それをホチキスで留めるのはどのような感覚でしたか?

自分の目の前にあることに集中して、演じないとでした。この映画の撮影はほとんど1人だったので、同じようにしないといけない場面がたくさんありました。

 

ちなみに、映画の大半を1人で撮影するのはどうでしたか?

孤独でした。普通の芝居では今話してるみたいに会話をしますが、この映画では違いました。電話のシーンはとにかく大変でした。コリン・ファレルの「Phone Booth (2002)」を思い浮かべましたね。あの映画はお気に入りです。もしかしたら「#マンホール」の監督も、あの映画にインスピレーションを受けたのかもしれないです。

 

電話のシーンですが、電話口には誰もいなかったのですか?

セット外(撮影外)に電話口の方はいましたが*3、完成品では電話の音声を編集で追加しています。

*3 "There were people on the other end, off set"です。ながやまさんが撮影現場を訪れて実際に電話のシーンを撮ったという話がありましたが、それ以外は役者さんご本人とのやりとりではなかったはずです。電話口には演者ではない(=撮影外の)スタッフさんがいらしたとか、そういう意味だと思う……後で過去記事漁れたら修正します……

 

それが気になっていました。電話口に誰もいないのに、どうやって表情や声のリアクションを取ったのでしょうか。

そこが難しかったです。この映画の一番のどんでん返しは「僕が実は川村ではなかった」ということだったので、映画の前半では邪悪な顔を見せないようにしました。彼の邪悪な顔を見せたくなかったので、川村の役は慎重に演じました。

 

どんでん返しについてですが、本当に予想外でした!初めて台本を読んだ時はどう思いましたか?

僕も予想していませんでしたし、読んだ時には混乱しました!「待って、自分は川村じゃなかったの?!ずっと吉田だったってこと?!そんな訳!マジか!」ってなって、そこから美容整形が出てきて……マジか、怖い!って。台本を閉じて、「マジか、この役を演じないといけないのか!この役を!一人二役を…!」って思いました。一度に2役を演じたことがなかったので、自分にとって非常にチャレンジングで新しい経験でした。観客を騙すのも楽しかったです。*4

*4 私の語彙がないせいで裕翔くんのキャラ崩壊しています。謝罪案件です。OMGの「マジか」以外の訳、募集中です。

 

警察が助けに来るのを頑なに拒んでいた理由が(吉田の過去の描写によって)腑に落ちたのを思い出しました。最初は「馬鹿げてる!何でこの人は警察を呼ばないんだ?」って思ってました。

ですよね。何か緊急事態が起きたとき、警察に電話するのが一番最初に取る行動ですよね?

 

私たちは殺人犯じゃないから、それが普通の思考回路ですよね!

これが、この役を演じたいと思った理由なんです。

 

そうですよね、前に仰っていたように、「アイドル」というパブリックイメージを覆したかったんですよね。中島さんがベルリンで仰っていた、「Idol song」の真似じゃないですよ…!(笑)(ジェスチャーをしながら)*5

✌Idol song✌

*5 ここには、ベルリン国際映画祭の記者会見で裕翔くんが「どういう曲を歌っているのか?」と聞かれ「idol song」とジェスチャー付きで答えていたシーンの切り抜きツイートが貼ってあります。また、インタビュワーの原文は"Not me doing the thing you did in Berlin"で、「まさか、あの時の真似じゃないですからね!(といいつつ真似してる)」的なノリだと思います。多分。 

※補足ですが、両手ピースを折り曲げるジェスチャーは日本で言う鍵括弧(””)で、この文脈だと「いわゆるアイドルらしい曲」という意味です

 

主役から一転して、悪役を演じるのはどのような気分でしたか。

吉田のような役はこれまでに演じたことがありませんでした。ダークな役か、そこまでいかなくても明らかに道徳的に複雑な、今回のような役を演じるのが夢でした。これまで何度もスーツを着た、ステータスの高い好青年を演じたことはありましたが、世の中の観客や自分のファンに、違った自分の姿を見せたいと強く願っていました。このギャップは実際に効果的でした。僕はアイドルなので、もし自分のようなアイドルがこの役を演じれば本当に斬新だと思いましたし、実際にこの作品はとても楽しく、挑戦的で、新しい経験であり、非常にやりがいがありました。

 

中島さんのファンはこの役に対して、どのように反応していましたか?

インタビュワーさんと同じく、"Wow!"という反応でした。僕には、自分の活動を認めて応援してくれるファンがたくさんいるので、新しい僕の姿を見て喜んでくれていたらいいなと思います。

 

この役を演じる中島さんを見たら、ファンは「わ~!裕翔くんに才能があることは知ってたけど、想像よりも、もっともっと天才!この怪物を演じ切ってる!」って思うと思います!

Yeah!

 

劇中でのSNSの利用は、現代を強く反映していました。このことについて、どう思いますか?

SNS……とても手軽だとは思う一方で、少しリスクもあると思います。様々なリスクがあると思いますし、人に対して酷い扱いをしないとか、誰も傷つけないとか、使い方には気を付けないとですね。劇中の川村が人々によって扇動されるシーンからもわかるように、SNSを正しく使う術を身に付ける必要があると思います。

 

SNSの正しい使い方についてお話しを伺いましたが、劇中ではSNSの悪用によって、同僚が縛られて暴行されていましたね。中島さんのキャラクターは「彼が自分をマンホールに落としたに違いない!誰か、彼を〇せ!」という感じで。そして実際に誰かが実行する、と...。

群集心理のようなものですよね。それが一番怖いですし、実際にこういうことが起きる可能性は十分にあります。SNSは非常に手軽ですが、たくさんのリスクが付いてきます。

 

この映画の中では、「自分以外の誰かになりたい」という発想が出てきますが、これまでに自分以外の誰かになりたいと思ったことはありますか?

幸運なことに、自分自身でいることに満足しているので、自分以外の誰かになりたいと願ったことはありません。でも幼少期はスターウォーズが大好きでした……いやもちろん今も大好きです。ジェダイになること、フォースを使うこと、ライトセーバーを使うことを想像していました。子供の夢ですね!

 

(夢で終わるかは)まだわかりませんよ、スターウォーズはまだ完結していないですから…

そうですね、実現できると信じています。本当に、本当に、本当に、あのような大きな作品の一員になれたらと思います。

 

ベルリンでの経験はどうでしたか?

ジャニーズ事務所のタレントの中で、あのような大きな映画祭に参加するのが自分になると思っていなかったので光栄でした。ニューヨーク・アジアン映画祭に参加しに、ニューヨークにも行けたらよかったなとは思います。ここで「#マンホール」が上映されるのは光栄ですし、観客のみなさんに楽しんでいただけているといいなと思います。

 

今日ツイッターを見ていて、ニューヨーク市内のバス停横に中島さんの「#マンホール」のポスターが貼られていることに感激している人を見かけました。

そうですね、こんなことが起きるなんて想像すらしていませんでした。「ニューヨークの?リンカーンセンターの前に?自分のポスターが?」って。僕もツイッターで見ました。(気持ちは)そこにいますよ!

※ツイート訳:「『#マンホール』が今年のニューヨーク・アジアン映画祭に選出されて光栄です。物理的に行くことはできませんが、気持ちはしっかりそこにいますよ!」

そうですよね、気持ちではここにいますからね!映画と、ポスターという形で!

 

ベルリン国際映画祭の記者会見で「I was like, OMG, '#Manhole', that's it?」と仰っていた動画がネット上でバズっていましたが、これに関してはどう思いますか?

会見のことは覚えてますが、バズっていたのは知らなかったです!映画の宣伝として、いい形だと思いますし、(バズっていたことを)知れてよかったです。正直、ベルリン国際映画祭という大きな場に参加することに少し緊張していたので、記憶の大半が曖昧ですが、非常に貴重な経験でした。*6

*6 ここには該当箇所の動画ツイートが貼ってありました

 

今後やってみたい役は何ですか?

演じること関しては情熱的ですが、同時に欲深くもあるので、いろいろな役を演じてみたいです!今回の映画を通して、自分が演じることのできる役の幅を広げることができました。ホアキン・フェニックスの、「ジョーカー」での役柄のようなものを演じてみたいです。実在する人物を演じることに興味があります。

 

1つの役を演じながら次の役柄について考えているのは、素晴らしいですね。「#マンホール」を通して、スーツを着た好青年以外の役も演じ切ることを証明したからこそ、「ジョーカー」のような役もできますよね。とてもスマートです。

吉田のような役を演じることで、挑戦を始めることができました。本当に多様なキャラクターを演じたいです。

 

川村と吉田、双方の名前を出していましたが、中島さんはこの2人を別々の人物として見ていましたか?1人ですか?それとも……。

僕は彼らを別々の人物として捉えていましたし、(吉田を演じながらも「自分が本物の川村だ」と)信じ込むようにしていました*7 。観客を騙すためには自分も騙されていないといけないと思ったからです。全編を通じて、自分が本当は吉田なのだと気付かないようにしていたので、2人のキャラクター間のバランスを保つことが大変でした。2人分の感情を同時に抱くのは難しいです。

*7 訳の都合でわかりにくくなってしまったので括弧内追記しています

 

中島さんは映画の最初から川村の秘密を知っていながらも、観客は誰も知らないから、それを早い段階で悟られてはいけなかったということですよね。マンホールの中で見つけた死体が、吉田が殺した本物の川村で、その人格を吉田が奪ったと。川村がアルバイトを卒業して、吉田に殺されたシーンでは驚きました。違う映画を観ているのかと思いました!

褒めていただきありがとうございます!狂気的でしたね!

 

映画の最後には口笛と、鈍い音がしていました。あの鈍い音は何だったのですか?

僕もわかりませんが、もしかしたら監督が知っているかもしれません。彼が生きている可能性はあります。多くの観客は彼が息絶えたと思っていますが、監督は結末を描き切りたくなかったのだと思います。

 

中島さんは彼が生きていると思いますか?

はい。吉田は生きることへの執着が強いので、どんなに大きな困難があったとしても、それを切り抜けるためにできることは何でもすると思います。

 

私の解釈では、彼はマンホールの底で逃げ道がないことを悟り、諦めから岩に頭を打ち付けて自ら死に至ったのかと思っていました。でも今中島さんがそう仰ったということは、生きているかもしれない…。

最後に僕が口笛で吹いている曲は、自ら監督に提案したんです。

 

何という曲ですか?

坂本九さんの、「Sukiyaki」です。日本語では、タイトルは「上を向いて歩こう」で、「上を向く」という意味なので、ダブルミーニングになっています。この曲は皮肉です。僕はマンホールに落ちて、(上を向いて)脱出しようとしてるんです。

 

それは、洒落が効いていますね!

もう1つ面白いのが、僕はHey!Say!JUMPとしてこの曲を披露したことがあるということです。なので、この曲を提案したきっかけには、たくさんの背景があるんです。

 

でも、これは断じて「アイドル映画」ではないですよね!*7

絶対的に違いますね!

*7 原文は”This is very much not a Hey!Say!JUMP movie!”です。「(提案の背景がアイドル活動にあっても、)映画自体は決して”アイドル映画”ではなかった」という意味として解釈しました。

 

先日、「#マンホール」を鑑賞する機会をいただきました。私のレビューは近日公開です!

 

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