中島裕翔「#マンホール」Nante Japanインタビュー

本ページはこちらの記事の個人訳です。

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原文の意図などを完全には汲み取れていないことをご承知置きください。

 

 

中島裕翔「#マンホール」Nante Japanインタビュー

Hey!Say!JUMPの中島裕翔主演の映画「#マンホール」は、今年2月に日本で公開されて以降、ベルリン国際映画祭での上映も含めて、世界中に広がっている。今週はニューヨーク・アジアン映画祭でも上映が行われた。上映に先立って、中島さんとZoom上で対談を行い、「映画について」「彼の役作りについて」「役者として何がしたいか」についてお話しした。

※注意:このインタビューにはネタバレを含みます!※

 

この役を引き受けようと思った理由は何ですか?

理由はたくさんあります。まず、このようなジャンルの映画は日本ではそれほど制作されていないので、自分にとっても日本の観客にとっても、新しい経験になると思いました。また、今まで演じた役とは違う、新しい自分の姿を見せたいという思いもありました。これまでは好青年を演じてきたので、それとは全く違う役を演じてみたら面白いと感じました。それに、ダークな感情を持った川村を自分のようなアイドルが演じることで、自分のパブリックイメージと川村のギャップを演出できると思いました。プロデューサーがこの映画に僕をキャスティングしたのも、そういった理由があると思います。観客に対してそのギャップが上手く作用するので。

 

最近、「(中島さんは)いつも笑っている」という内容のツイート を見かけたのを思い出しました。「もしこの映画を観たら、全く違う印象を持つだろうな…!」と思います。*1

そうですね、本当に正反対ですね!この役で、観客を騙すのは楽しかったです。

*1 元ページには一般人のツイートへのリンクが貼られており、リンク先にはライブ映像の切り抜きが載せられていました。いいのか…!?(敢えてここには貼りません)

 

この役のために、どのように準備しましたか?

3日間水を飲まないようにしました。

 

3日間ですか?!

そうですね、それを2度やりました。3日間を別々のタイミングで2回です。映画の前半と後半で自分の顔の印象を変えたかったので、水を飲みませんでした。

 

外見的に、どのように変化しましたか?

顔が完全に細くなって、ダイエットをしたみたいになりました。効果があったと思います!それと暗いセットに居続けることは、思っていた以上に大変でした。異なる表情を見せないといけなかったので、ビジュアルの変化を出したかったんです。

 

マンホールの中での撮影は、どのような感じでしたか?

実は、マンホール上部と下部の2つのセットがありました。本当に強烈でした。汚くて、臭いがキツくて、すごく怖かったです。また、思っていたよりも狭かったです。最初にスタッフさんからセットの写真を見せてもらった時は、「そんなに狭くないし、まあ大丈夫か」と思ったのですが、その写真は広角レンズで撮られていたので、実物は想像よりももっと狭かったです。セットの中で動き回るのは本当に大変でした。かろうじて座れるぐらいだったので、そうですね、大変でした。

 

マンホールの中は本当に汚く見えました。泥だらけというか……。

はい、泥だらけですね。それに蜘蛛の巣もありました。

 

本物の蜘蛛ですか?

いえ、本物ではなく、セットに雰囲気を出すための作りものです。美術さんの頑張りが素晴らしかったです。

 

泡の中での撮影はどうでしたか?

ああ......泡ですね......。撮影はとても大変でした。泡の中にいる間は、息を止めていないといけなくて。それに、泡をより汚く黒ずませるために、美術さんが海苔と鰹節を足していたので、お好み焼きみたいなにおいがしていました。それはもう最悪でしたね!

 

お好み焼き、嫌いなんですか?

いやいや、お好み焼きは好きですが、マンホールの汚い泡と混ざったものだと話は別です。臭いがとにかく尋常じゃなくて、とても異様でした。これほどまでの量の泡に囲まれたことは無かったので、新しい体験でした。

 

泡で溺れることは無いと思っていたのですが、体内に入ったら溺れることもあるのだと気付きました。窒息してしまう、と…。

そうですね。水の中にいるような感じで、泡の中では息ができないので息を止めないといけませんでした。長回しで、監督がカットと言わなかったので、「これはいつまで続くんだ?」と思いながら泡の中に居ました。数分間、そのような状態が続きました。

 

長回しだったんですね?

そうですね!

 

劇中のように爆破させずに、単純に泡をどかした方がいいんじゃないかと思いました!*2

そう思います!

*2 原文は"I guess it's better to just get it out of the way"で、グレーの部分追加しました。どうにかなる量の泡だったかは別として、本当にそれはそう。吉田ァ......。

 

映画についてもっと考えていたのですが……梯子を登るシーンはどんな感じでしたか?

梯子が入る画角や立ち位置がとにかくたくさんあったので、かなりの回数登らないといけませんでした。上部のセットでは登るためのロープを使えましたが、梯子自体は汚くて錆びついていたので、握るのも痛かったです。

 

マンホールの奥深くまで、梯子から落ちるシーンがありましたね。その撮影はどうでしたか?毎回落ちないといけなかったのですか?

僕が何度か落ちるシーンでは、監督はCGを使わないと仰っていたので、実際に落ちています。まず梯子を登って、落ちて、監督が「カット!」と言ったら、マンホール下部のセットにカメラのアングル変えて、全てをもう一度やり直しました。

 

ということは、それぞれの落下シーンは2回の落下からできているということですか?

そうです!

 

それはかなりの落下回数ですね。撮影期間中に、何回落ちましたか?

数えきれないですね。かなりの回数でした!

 

痛かったですか?

いえ、しっかり安全な方法で撮りました。下には巨大なクッションが用意されていて、全てが非常にプロフェッショナルで安全でした。

 

脚の裂傷をホチキスで留めるシーンですが…!どのような感じでしたか?そのシーンでは、何を考えていましたか?

シリコン製の特殊メイクに、メイクさんがたくさんの血糊を使って作りました。実際に怪我をしたわけではないのに、本当の怪我のように感じました。

 

時間が経つにつれて、自分の脚の一部のように感じたのですか?

そうですね、次第に。

 

では、それをホチキスで留めるのはどのような感覚でしたか?

自分の目の前にあることに集中して、演じないとでした。この映画の撮影はほとんど1人だったので、同じようにしないといけない場面がたくさんありました。

 

ちなみに、映画の大半を1人で撮影するのはどうでしたか?

孤独でした。普通の芝居では今話してるみたいに会話をしますが、この映画では違いました。電話のシーンはとにかく大変でした。コリン・ファレルの「Phone Booth (2002)」を思い浮かべましたね。あの映画はお気に入りです。もしかしたら「#マンホール」の監督も、あの映画にインスピレーションを受けたのかもしれないです。

 

電話のシーンですが、電話口には誰もいなかったのですか?

セット外(撮影外)に電話口の方はいましたが*3、完成品では電話の音声を編集で追加しています。

*3 "There were people on the other end, off set"です。ながやまさんが撮影現場を訪れて実際に電話のシーンを撮ったという話がありましたが、それ以外は役者さんご本人とのやりとりではなかったはずです。電話口には演者ではない(=撮影外の)スタッフさんがいらしたとか、そういう意味だと思う……後で過去記事漁れたら修正します……

 

それが気になっていました。電話口に誰もいないのに、どうやって表情や声のリアクションを取ったのでしょうか。

そこが難しかったです。この映画の一番のどんでん返しは「僕が実は川村ではなかった」ということだったので、映画の前半では邪悪な顔を見せないようにしました。彼の邪悪な顔を見せたくなかったので、川村の役は慎重に演じました。

 

どんでん返しについてですが、本当に予想外でした!初めて台本を読んだ時はどう思いましたか?

僕も予想していませんでしたし、読んだ時には混乱しました!「待って、自分は川村じゃなかったの?!ずっと吉田だったってこと?!そんな訳!マジか!」ってなって、そこから美容整形が出てきて……マジか、怖い!って。台本を閉じて、「マジか、この役を演じないといけないのか!この役を!一人二役を…!」って思いました。一度に2役を演じたことがなかったので、自分にとって非常にチャレンジングで新しい経験でした。観客を騙すのも楽しかったです。*4

*4 私の語彙がないせいで裕翔くんのキャラ崩壊しています。謝罪案件です。OMGの「マジか」以外の訳、募集中です。

 

警察が助けに来るのを頑なに拒んでいた理由が(吉田の過去の描写によって)腑に落ちたのを思い出しました。最初は「馬鹿げてる!何でこの人は警察を呼ばないんだ?」って思ってました。

ですよね。何か緊急事態が起きたとき、警察に電話するのが一番最初に取る行動ですよね?

 

私たちは殺人犯じゃないから、それが普通の思考回路ですよね!

これが、この役を演じたいと思った理由なんです。

 

そうですよね、前に仰っていたように、「アイドル」というパブリックイメージを覆したかったんですよね。中島さんがベルリンで仰っていた、「Idol song」の真似じゃないですよ…!(笑)(ジェスチャーをしながら)*5

✌Idol song✌

*5 ここには、ベルリン国際映画祭の記者会見で裕翔くんが「どういう曲を歌っているのか?」と聞かれ「idol song」とジェスチャー付きで答えていたシーンの切り抜きツイートが貼ってあります。また、インタビュワーの原文は"Not me doing the thing you did in Berlin"で、「まさか、あの時の真似じゃないですからね!(といいつつ真似してる)」的なノリだと思います。多分。 

※補足ですが、両手ピースを折り曲げるジェスチャーは日本で言う鍵括弧(””)で、この文脈だと「いわゆるアイドルらしい曲」という意味です

 

主役から一転して、悪役を演じるのはどのような気分でしたか。

吉田のような役はこれまでに演じたことがありませんでした。ダークな役か、そこまでいかなくても明らかに道徳的に複雑な、今回のような役を演じるのが夢でした。これまで何度もスーツを着た、ステータスの高い好青年を演じたことはありましたが、世の中の観客や自分のファンに、違った自分の姿を見せたいと強く願っていました。このギャップは実際に効果的でした。僕はアイドルなので、もし自分のようなアイドルがこの役を演じれば本当に斬新だと思いましたし、実際にこの作品はとても楽しく、挑戦的で、新しい経験であり、非常にやりがいがありました。

 

中島さんのファンはこの役に対して、どのように反応していましたか?

インタビュワーさんと同じく、"Wow!"という反応でした。僕には、自分の活動を認めて応援してくれるファンがたくさんいるので、新しい僕の姿を見て喜んでくれていたらいいなと思います。

 

この役を演じる中島さんを見たら、ファンは「わ~!裕翔くんに才能があることは知ってたけど、想像よりも、もっともっと天才!この怪物を演じ切ってる!」って思うと思います!

Yeah!

 

劇中でのSNSの利用は、現代を強く反映していました。このことについて、どう思いますか?

SNS……とても手軽だとは思う一方で、少しリスクもあると思います。様々なリスクがあると思いますし、人に対して酷い扱いをしないとか、誰も傷つけないとか、使い方には気を付けないとですね。劇中の川村が人々によって扇動されるシーンからもわかるように、SNSを正しく使う術を身に付ける必要があると思います。

 

SNSの正しい使い方についてお話しを伺いましたが、劇中ではSNSの悪用によって、同僚が縛られて暴行されていましたね。中島さんのキャラクターは「彼が自分をマンホールに落としたに違いない!誰か、彼を〇せ!」という感じで。そして実際に誰かが実行する、と...。

群集心理のようなものですよね。それが一番怖いですし、実際にこういうことが起きる可能性は十分にあります。SNSは非常に手軽ですが、たくさんのリスクが付いてきます。

 

この映画の中では、「自分以外の誰かになりたい」という発想が出てきますが、これまでに自分以外の誰かになりたいと思ったことはありますか?

幸運なことに、自分自身でいることに満足しているので、自分以外の誰かになりたいと願ったことはありません。でも幼少期はスターウォーズが大好きでした……いやもちろん今も大好きです。ジェダイになること、フォースを使うこと、ライトセーバーを使うことを想像していました。子供の夢ですね!

 

(夢で終わるかは)まだわかりませんよ、スターウォーズはまだ完結していないですから…

そうですね、実現できると信じています。本当に、本当に、本当に、あのような大きな作品の一員になれたらと思います。

 

ベルリンでの経験はどうでしたか?

ジャニーズ事務所のタレントの中で、あのような大きな映画祭に参加するのが自分になると思っていなかったので光栄でした。ニューヨーク・アジアン映画祭に参加しに、ニューヨークにも行けたらよかったなとは思います。ここで「#マンホール」が上映されるのは光栄ですし、観客のみなさんに楽しんでいただけているといいなと思います。

 

今日ツイッターを見ていて、ニューヨーク市内のバス停横に中島さんの「#マンホール」のポスターが貼られていることに感激している人を見かけました。

そうですね、こんなことが起きるなんて想像すらしていませんでした。「ニューヨークの?リンカーンセンターの前に?自分のポスターが?」って。僕もツイッターで見ました。(気持ちは)そこにいますよ!

※ツイート訳:「『#マンホール』が今年のニューヨーク・アジアン映画祭に選出されて光栄です。物理的に行くことはできませんが、気持ちはしっかりそこにいますよ!」

そうですよね、気持ちではここにいますからね!映画と、ポスターという形で!

 

ベルリン国際映画祭の記者会見で「I was like, OMG, '#Manhole', that's it?」と仰っていた動画がネット上でバズっていましたが、これに関してはどう思いますか?

会見のことは覚えてますが、バズっていたのは知らなかったです!映画の宣伝として、いい形だと思いますし、(バズっていたことを)知れてよかったです。正直、ベルリン国際映画祭という大きな場に参加することに少し緊張していたので、記憶の大半が曖昧ですが、非常に貴重な経験でした。*6

*6 ここには該当箇所の動画ツイートが貼ってありました

 

今後やってみたい役は何ですか?

演じること関しては情熱的ですが、同時に欲深くもあるので、いろいろな役を演じてみたいです!今回の映画を通して、自分が演じることのできる役の幅を広げることができました。ホアキン・フェニックスの、「ジョーカー」での役柄のようなものを演じてみたいです。実在する人物を演じることに興味があります。

 

1つの役を演じながら次の役柄について考えているのは、素晴らしいですね。「#マンホール」を通して、スーツを着た好青年以外の役も演じ切ることを証明したからこそ、「ジョーカー」のような役もできますよね。とてもスマートです。

吉田のような役を演じることで、挑戦を始めることができました。本当に多様なキャラクターを演じたいです。

 

川村と吉田、双方の名前を出していましたが、中島さんはこの2人を別々の人物として見ていましたか?1人ですか?それとも……。

僕は彼らを別々の人物として捉えていましたし、(吉田を演じながらも「自分が本物の川村だ」と)信じ込むようにしていました*7 。観客を騙すためには自分も騙されていないといけないと思ったからです。全編を通じて、自分が本当は吉田なのだと気付かないようにしていたので、2人のキャラクター間のバランスを保つことが大変でした。2人分の感情を同時に抱くのは難しいです。

*7 訳の都合でわかりにくくなってしまったので括弧内追記しています

 

中島さんは映画の最初から川村の秘密を知っていながらも、観客は誰も知らないから、それを早い段階で悟られてはいけなかったということですよね。マンホールの中で見つけた死体が、吉田が殺した本物の川村で、その人格を吉田が奪ったと。川村がアルバイトを卒業して、吉田に殺されたシーンでは驚きました。違う映画を観ているのかと思いました!

褒めていただきありがとうございます!狂気的でしたね!

 

映画の最後には口笛と、鈍い音がしていました。あの鈍い音は何だったのですか?

僕もわかりませんが、もしかしたら監督が知っているかもしれません。彼が生きている可能性はあります。多くの観客は彼が息絶えたと思っていますが、監督は結末を描き切りたくなかったのだと思います。

 

中島さんは彼が生きていると思いますか?

はい。吉田は生きることへの執着が強いので、どんなに大きな困難があったとしても、それを切り抜けるためにできることは何でもすると思います。

 

私の解釈では、彼はマンホールの底で逃げ道がないことを悟り、諦めから岩に頭を打ち付けて自ら死に至ったのかと思っていました。でも今中島さんがそう仰ったということは、生きているかもしれない…。

最後に僕が口笛で吹いている曲は、自ら監督に提案したんです。

 

何という曲ですか?

坂本九さんの、「Sukiyaki」です。日本語では、タイトルは「上を向いて歩こう」で、「上を向く」という意味なので、ダブルミーニングになっています。この曲は皮肉です。僕はマンホールに落ちて、(上を向いて)脱出しようとしてるんです。

 

それは、洒落が効いていますね!

もう1つ面白いのが、僕はHey!Say!JUMPとしてこの曲を披露したことがあるということです。なので、この曲を提案したきっかけには、たくさんの背景があるんです。

 

でも、これは断じて「アイドル映画」ではないですよね!*7

絶対的に違いますね!

*7 原文は”This is very much not a Hey!Say!JUMP movie!”です。「(提案の背景がアイドル活動にあっても、)映画自体は決して”アイドル映画”ではなかった」という意味として解釈しました。

 

先日、「#マンホール」を鑑賞する機会をいただきました。私のレビューは近日公開です!

 

(追記:ブラウザを閉じる前にこちらの元記事のリンク押していただけると非常に助かります!公式側にもきちんとアクセス数反映されてほしいので…!お手数ですがよろしくお願いします!)

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熊切和嘉監督・中島裕翔インタビュー:「#マンホール」をホラー映画にする意図はなかった

本ページはこちらの記事の日本語訳です!

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原文の意図などを完全には汲み取れていないことはご承知おきください。

※※本編の核心にかなり触れている部分があるので(部分部分反転しないと読めないようにしていますが)注意です※※

 

 

熊切和嘉監督・中島裕翔インタビュー:「#マンホール」をホラー映画にする意図は無かった

中島裕翔さんは、自分の顔が知られていない街で自由に散策できることがとてもよい気分だと言う。日本で1メートル歩けば、たちまち黄色い歓声を上げるファンに囲まれる*。Hey! Say! JUMPのメンバーとして、有名なタレントとして、彼は静かな生活というものをすっかり忘れてしまっている。熊切和嘉監督の、シニカルかつスリラーに振り切ったホラー(好青年に見える男に災難が降りかかり、彼が本当の顔を見せる―しかしその「顔」は彼の物ではない―という内容[記事には直接書かれていましたが一応伏せます、反転でどうぞ])で、唯一無二で挑戦的な役を演じる彼を観ることはすなわち、非常に新鮮なことだ。

*In Japan he wouldn't last a meter without being surrounded by screaming fans. 直訳すると、「叫ぶファンたちに囲まれずに歩こうと思ったら、1メートルも持たない」みたいな内容になります とてもポジティブに訳せば黄色い歓声をあげるファンだし、若干の悪意を込めて訳せば絶叫するファンです 解釈はお任せで(笑)

私たちはBerlinale Palastで監督と主演にお会いする機会を頂き、全く予想の出来ない「#マンホール」について、狭い空間で撮影を行う難しさについて、そしてワンマンショーをハラハラの展開に仕立てる挑戦について、お話しを伺いました。

 

まずお二方に質問させていただきます。(オファーを受けるにあたって)岡田道尚さんの脚本のどの部分に惹かれましたか?

熊切監督:現代社会において、「狭くて限られた空間で、外界と繋がる手段としてSNSを使う」という脚本に惹き込まれました。自分にとって新しい作品になるという点で、惹かれました。

中島(以下敬称略):監督がおっしゃったように、狭い空間の中でもとにかく観客を飽きさせない仕掛けを見せ続けるという点で、「いかに観客の興味を惹き続けるか」ということが問題でした。この映画の川村は自分がこれまで演じてきた役とは大きく違いますし、僕にとって大きなチャレンジだと思いました。この役に入り込むことは非常に楽しかったです。

 

鶏と卵、どちらが先だったのでしょうか?熊切監督の構想がのちに脚本家によって描き起こされたのか、それとも脚本家のアイデアのすばらしさに惹かれて、撮影しようと決心されたのか。どちらでしょうか?

熊切監督:完全に岡田道尚さんのアイデアでした。彼はいつも観ている人を騙すような、先の見えないミステリアスな脚本を書いています。

 

限られた空間の中での撮影(カメラの動き)について関してお伺いしたいのですが、このような舞台の中でどのように撮られたのでしょうか?

熊切監督:僕たちは壁を外すことのできる倉庫で撮影を行いました。カメラを動かす必要があるときは1つの壁をずらし、元の画角に戻る時までにスタッフが壁を戻して、撮影が止まってしまわないようにしました。すべてがアナログでしたね。このようなセットが無ければ閉所の不快感を出せなかったと思います。キャラクターにとにかく重きを置いていたので、「逃げ場の無さ(no-way-out)」をリアルに再現する必要がありました。

 

「川村が当初紹介されていたような好青年ではないかもしれない」ということを最初に示唆したのは、トラブルに巻き込まれた若い女の子になりすましたシーンでした。このフラグは、その先に待ち受けている内容に備えて、入念に張り巡らせたものだったのでしょうか?

熊切監督:そうですね、そのシーンで描かれているのは、彼のある種賢い部分や悪い一面に加えて、彼が人の顔を扱う時の安易さ[伏せます]です。先の内容に向けて、非常に良いお膳立てになっていると思います。

 

今作は中島さんのこれまでの仕事の中で、最高傑作だと思います。脚本をご覧になった時には、(今までやられてきた役を踏まえた上で)自分にとって適役か悩みましたか?それとも単純に、今までとは完全に違う役に挑戦したいと思いましたか?

中島:川村の好きなところは、彼がいろいろな顔を持っていて、感情表現が激しいところです。彼の変化を通じて、観ている人は常に予期できない何か(=刺激)を得ることができます。この映画を観る中で、警告信号が飛び交って、「いいやつだと思っていた人が実はクソ野郎だった*」[伏せます]なんてことがあるかもしれない、と多くの人が気付けることが、僕は気に入ってます。彼はモンスター[伏せます]です。彼の嫌みっぽい人物像が好きです。彼の変化の過程はとても綺麗に、ショックなくらい驚くべきものとして描かれているので、それはかなりの挑戦でした。この役にどうアプローチするか、またどうやって彼の過激な面[一応伏せます]を表現するかをみんなで話し合いました。川村がどんな人物であるべきか、という熊切監督の明確なアイデアが無ければ、この役をやり遂げることができなかったと思います。監督が、僕のベストを引き出してくれました。だからだと思います[質問内容の中の「最高傑作」にできたことが]。狭い空間で非常に難しい役をやり遂げなくてはならなかったのですが、実際、監督のアドバイスのおかげでやりやすくなりました。

* 記事では***holeと書かれています 伏せられている部分はa**、直訳するとポムポムプリンにもついてるこれ→*になるので、公の場では伏せられることが多いです 意味としては物理的なものだけではなく、転じて人のことを侮辱する意味になります(日本で言う「う〇こ=クソ=最低な人」的なイメージ)

熊切監督:後はきっちり脚本に沿って、時系列順に撮影を進めたのもその手助けになったかもしれません。その意味で、感情を高めることや、段階的に変化していくことがやりやすかったと思います。

 

ジャンル特有の表現(お約束)*を使うことは意識しましたか?それとも、そういったものが連続したのは偶然でしょうか?

*原文ではgenre tropesです 下記のサイトだと、ホラーのお約束として「警察が無能」「どの人物も死ぬ可能性がある」「孤立した建物」が挙げられていますhttps://selfpublishingformula.com/genre-tropes-what-are-they/#:~:text=Tropes%2C%20on%20the%20other%20hand%2C%20are%20recurring%20ideas,readers%20might%20not%20even%20realise%20they%E2%80%99re%20in%20there.

熊切監督:もともとホラー映画にするつもりはなくて、それよりもブラックユーモアを効かせた、皮肉のこもったスリラーのような感じでした。観客が「#マンホール」をおどろおどろしいホラーとして捉えていると知ったのは、のちのことです。作りのいいホラー映画はすごく好きなので、それは問題ありません。

中島:蜘蛛や他の怖い生き物たちが僕の大事な共演者だったことは、強調しておきたいですね。

 

1人の俳優だけで、かつその俳優の素質に頼って映画を作ることは、たくさんの挑戦を伴いますよね。

熊切監督:とにかく彼1人に集中するしかありませんでしたが、そのことが映画に十分なクオリティーを与えたので、難しくもあり簡単でした。

 

監督は、映画のビジュアル面に関して具体的なアイデアはあったのでしょうか?それとも、撮影監督である月永雄太さんの技量に完全に委ねていたのでしょうか?

熊切監督:はい。具体的なビジュアルに関しては撮影前に話し合いましたし、カメラテストもたくさんしました。また、真っ暗闇で長編映画を丸々1本作るということも、チャレンジングだったので、「暗闇をどうやって可視化するか」ということがすなわち課題でした。なので、月から来る青色、雨の緑っぽいトーン、また、そこからくる暗い、傾きを加えたビジュアルを活用しました。

 

少し前に頂いたインタビューによると監督はテレビすらご覧にならないとのことなのに、この映画ではSNSが重要な役割を果たしているのが面白いですよね。監督は「現代化」されましたか?

熊切監督:SNSに興味ないというよりは、個人的にそれほど必要としていないというだけですね。でも「SNSが生み出す混沌」はこの映画の中で見せたかったことなので、それに対して、若いスタッフたちが反応しているのを見るのは面白かったです。[メディアへの関心について]それ以外だとテレビでは野球しか見ませんが、今回中島くんが僕の映画に出てくれたので、彼が出ている番組は時々観ます。

 

中島さんは日本では大スターですが、ほぼお忍びでベルリンにいらっしゃる気持ちはいかがですか?

中島:素晴らしいですね、日本では街で気づかれるので。多くの人にとって僕はアイドルですが、今の僕は俳優としてここにいるので、そうやって[人だかりができるアイドルとして]注目されないのは嬉しいです*。[ベルリンでは]違いますね。みんな僕を僕としてではなく、演技力で認知しているので、街の散策も楽しめます。サインを頼まれることもたまにしかありません。

*原文はI am happy to skip on that kind of attention 「そういう視線をスキップする(=とばす、免れる)」という感じです

「#マンホール」-記者会見(日本語訳)

ベルリン国際映画祭で2月20日に行われた「#マンホール」記者会見の日本語訳です。

Yuto Nakajima, Kazuyoshi Kumakiri / #Manhole / Berlinale Special - Press Conference - Feb 20, 2023 

www.berlinale.de

司会や現地記者の方(記者A)は英語、熊切監督と日本記者の方は日本語(記者B以降)、裕翔くんは日本語と英語の双方でお話しされていました。特に日本語でお話しされていた部分は、通訳の方のボイスオーバーで聞き取るのが難しかったので、空欄になっている場所が多いです。随時更新します。(追記:あまりに読みづらいので、大体のニュアンスがわかる部分は薄い青字で補っています

※登壇者や記者の方の本来の意図を汲み取れていない部分もあると思うので、1つの参考として読んでいただけますと幸いです。

 

「#マンホール」-記者会見

司会:今夜ベルリナーレ・スペシャルで上映される「#マンホール」の記者会見にようこそお越しくださいました。ゲストを左から順に紹介いたします。彼は俳優だけではなく歌手、モデルでもある、マルチな才能を持ち合わせたスターです。彼はマンホールの中の男、川村を演じました。中島裕翔さん、本日はご参加いただきありがとうございます。

中島:(名札を見せながら笑顔)

司会:[続いて]彼は2度ベルリン国際映画祭に出席しており、1度目は1998年に初めて手掛けた長編映画でパノラマ部門に出席した時でした。おかえりなさい、熊切和嘉さん。

監督:はじめまして。

司会:質問がありましたら、いつでも手を挙げていただいて大丈夫です。まずは熊切監督への質問から始めます。まず、これは岡田道尚さんによって描かれた映画脚本ですよね。監督がどのように打診を受けて、どのように参加したか、また、読んだ時にどう思ったか教えてください。

監督:元々は、僕は岡田さんとプロデューサー陣が1年くらいかけて練ったプロットを見せてもらって。今まで僕が撮ってきた映画とちょっと感じが違ったので、最初は戸惑いもあったのですが、すごく何度も読み返すうちに非常に狭い空間で描かれることも、非常に広がりのある話だと思いまして。それから是非参加したい*1なと思いました。

*1 通訳さんと重なってしまって聞き取れていません すみません 通訳さんは”I really thought it was really interesting”と訳していました

司会:ありがとうございます。そして、どのように中島さんをキャスティングしたのですか。

監督:もともと僕が監督するとなった時点でもう[既に]中島くんでやりたいという話は聞いていて、それは僕も事前に行定勲監督の「ピンクとグレー」という作品を観ていたので、彼はこの作品にピッタリなのじゃないかなと。それは彼の演技力もそうなんですけど、彼のこのスター性と言いますか、そういう部分でも彼にしかできない企画だと思ったので、彼にお願いしました。

 

司会:(記者を指しながら)どうぞ。

記者A:こんばんは。私は昨晩映画を見たのですが……素晴らしい。どのようにこの映画全体を、長きに渡ってまとめたのですか*2。彼が携帯電話を使っていた時、誰も彼に応えませんでした。私たちは全員*3が穴の中にいるように感じました。中でも衝撃を受けたのは、映画冒頭の、パーティーのシーンと音楽です。これほどのものを観たのは初めてなので、是非これについてもっと教えていただけませんか。

*2 原文は”How did you manage to put this something at whole, for so long time”です 肝心の何かが聞き取れていないけど作品のことを指しているのは間違いないと思います 

*3 "We were feeling like everybody in the hole"なのですが、おそらく観客全員がマンホールの中にいることを錯覚するくらい惹きこまれたというこだと解釈しました

監督:始まりのシーンに関しては、映画出だしで観る人を掴みたいなという想いがあったので、なのでああいう、ちょっとある種ポップなシーンから、編集-エディティングで始めました。その中でもいろんな、かなり物語のキーとなる伏線を散りばめた*4つもりです。

*4 聞き取れていません。通訳さんも「のちに解明する伏線をできるだけ入れた」みたいな訳をしていました

 

司会:今お伺いした質問の中に、中島さんが演じたキャラクターがずっと穴の中にいるという話がありましたが、俳優からの視点に関してもお伺いしたいです。これは非常に特徴的な場面設定で、撮影において想像力を要するものだと思います。それについてお話しいただきたいです。中島さん、あまり心地よいものでは無かったですよね?

中島:(英語で)狭くて暗いセットの中で丸ごと1か月撮影を行うことは非常に厳しかったです。最初に台本をいただき、タイトルを見て、「すごい。『#マンホール』、それだけ?」と思いました。男はマンホールに落ちて、命がけで外に出ようとするのですが、私はこのような役をやってみたいと思っていて、自分にとって1つの挑戦でした。撮影では泡-汚い泡に囲まれて、非常にトリッキーでした。このようなことはやったことがなかったので、とにかく、身体的にも精神的にも、とても大変でした。

(原文:Shooting for a whole month, in the tight and dark set, was very intense. The first time I got the script, and then I saw the title, I was like "Oh my gosh, #Manhole. that's it." And then a man who falls into a manhole and he risks his life to get out - so originally I wanted  to do a roll like this, so that was challenging for me. And shooting was very tricky, because I was surrounded by bubbles - dirty bubbles; I've never done it before, and anyway that was really tough, mentally and also physically. )

追記:"Oh my gosh, #Manhole. That's it."の部分ですが、「まさにそれだ!」ではなく「それだけ?!(=超シンプル)」という意味だと思ったので訂正しました。

 

司会:監督への質問なのですが、空間をうまく扱うため、また主人公への多様な焦点の当て方をするために、どうやって情報共有をしましたか。

監督:確かに、こんなに狭い中で映画を撮るのは初めての経験だったので、しかも主人公は足の怪我をしているという(○○を○○したかった)ので。その足かせが大きいことが(○○で)、非常に燃えるところがありまして、この狭い中でどれだけ映画を(○○できるかということ)はひたすら考えて。まあ、(○○です)。*5

*5 すみません、もう全然聞き取れない 随時更新します わからなければ通訳さんが話されていたニュアンスだけでも......

 

司会:(記者を指しながら)どうぞ。

記者B:(自己紹介の後に)日本語で大丈夫ですか?中島さんには英語で聞いた方がよいかなと思って。中島さんには、ベルリンに、初めて上映されている感想をお伺いしたいなというのと、熊切さんには戻ってきた感想をお伺いしたいです)。*6

*6 同上、以下の空白も随時更新します

中島:(日本語で)まず、夢のようですね。こういう所に来られると正直思っていなかったので、この作品に連れてきてもらえたという感じですね。(英語で)ベルリナーレに参加できると思っていなかったので、世界中から俳優や監督が集まる華々しいイベントに出席できていることが大変光栄です。

(原文:I've never dreamed to join Berlinale, so it's really an honor to be here at this glamorous event, with actors and directors from all over the world.)

監督:僕は最初が大学の卒業制作でベルリンのパノラマ部門に招待してもらったので、その時それで初めて海外に(○○たのが)ベルリンだったんですよ。そういう意味でも、非常に思い入れがあるので、(○○)。着いたばっかりなので、これから楽しみたいと思いますね。

 

記者C:(自己紹介の後)熊切さんに、今のお答えに続く形なのですけれども、今回ベルリナーレ・スペシャルの部門でカムバックされたということで、それについてはどんな感想をお持ちですか。

監督:僕が最初に来た時に、タランティーノ監督が「ジャッキー・ブラウン」でレッドカーペットを歩かれていて、タランティーノさんに僕の映画のフライヤーを渡したくて、でも貰ってもらえなくて、サミュエル・L・ジャクソンが(○○)ですけど、それがすごく覚えてますね。さすがレッドカーペット(○○)非常に感慨深いです。

司会:今の時代ならツイッターで彼と連絡取れますね。

 

記者D:まず中島さんには川村という役についてお伺いできればと思うのですが、ネタバレを避けたうえでですね、随分(○○)自己本位な姿を(○○)、(○○)思うのかということと、熊切監督の(○○)も併せて、そういった若者のSNS文化、今の日本の断面を、ある種(○○)ですが、(○○)聞かせていただけますか。

中島:(日本語で)そうですね、川村という役は見た目はすごく好青年で、仕事ができて、ハイスペックな男で、翌日に結婚式を控えているという本当に幸せの絶頂にいるような男なんですけれども、ある種完璧主義者というか、もう完璧な男がマンホールに入って、ジタバタもがく様がですね、なんかこう人間の本性というか絶望を表しているなということがすごく台本を読んだ時に思いましたし、僕自身人間のしょうもないというか(○○な)キャラクターを観るのがすごく好きなんですよね。ちょっとネタバレになるので最後の方は言えないんですけど、だんだんマンホールに入っていろんな仕掛けが(○○)、そういう風に化けの皮が剥がれる部分は本性が出る一面なので、自分が演じるにおいても、映画の中で全て(○○ことが)すごく難しかったですけど、とにかくここから抜け出そうというバイタリティがとんでもなく強い人だと感じました。台本読んだ時、「俺だったらすぐ諦めちゃうな」と思って(笑)。(○○)バイタリティは、それはやっぱり幸せの頂点にいるような生活を手にした、それを手放したくない(○○なので)、それを納得できたのと、生命力が強い人だなって感じました。

監督:元々僕は綺麗事ばかりの人間を描きたくないというのはあって、その中でやっぱり川村という人物の極限まで追い詰められた中で出てくる人間性と言いますか、それを描きたかったっていうのもありますし、先ほど仰っていた自己本位やSNSの文化であったり、その便利な部分と、もちろんその匿名性の怖さを、思わぬ形で(○○ことは)あると思うので、そこはやっぱりしっかりと描きたいなと思いましたね。(○○で)良い作品になったと思います。

 

司会:おふたりに質問なのですが、普段はどのようにSNSを使われていますか。

中島:(英語で)実は私は日本のアイドルグループHey!Say!JUMPのメンバーで、インスタグラムとYouTubeの2つのアカウントを持っています。私は普段見るだけですが*6、そのようなSNSは観客の反応を見るのに非常に役に立ちます。なので、反応を知るようにしています。

(原文:Actually, I'm a member of the Japanese boy band Hey!Say!JUMP, and we just have two accounts, Instagram and YouTube. I'm just watching it and sometimes, those kind of social medias are really helpful to know what the audiences think, so I try to use to know of them.)

*6 裕翔くんはROM専だというお話しだと思います(?)

 

記者E:(自己紹介の後に)今回このベルリン映画祭という大きな舞台に作品を持ってこられたと思うのですが、元々こちらの作品というのは企画段階ですとか製作段階では、どれくらい海外の観客-海外市場というものを意識されて作っていったのでしょうか。

監督:そこまで意識......どうなんですかね。プロデューサーは意識してたと思いますけど僕はそんなに意識はしていないですね。まさかベルリンに来られるとは、っていう感じです。

 

記者A:【この質問からゴリゴリのネタバレなので割愛します】

監督:【解説】

中島:結末についてお話しされてる(笑)私たちは何もネタバレしたくないので......すごい(笑)

(原文:He's talking about the ending (laughing), we don't want to spoil anything, you know. Oh my gosh, he's kind of tough (laughing))

司会:まあ記者会見にいる人たちは既に観てますし、このビデオの視聴者も、一度映画を観てから、よりこの映画を知るために観てると考えれば……

中島:(英語で)そうですね(笑)オッケーです......(笑)

 

司会:でもあなたたち次第です(笑)。既に映画作りと演技の双方の面で、この映画がどれほど難しいものだったかはお話ししましたが、特に記憶に残っている瞬間などはありますか?

中島:(日本語で)泡じゃないですか?(英語で)川村が泡に囲まれるシーンです。

(原文:The scene when Kawamura was surrounded by bubbles.)

司会:それは技術的に難しかったということですか。それともそこに時間をたくさん費やしたということでしょうか。

中島:(英語で)両方ですね。

(原文:Both, both. )

監督:泡に襲われるというのは映画でやった人はいないと思うので、何が正解かわからずに、いろいろ(○○)結局現場で直接やるしかなくて、だから彼にも泡に何度も沈んでもらって(○○して)、それで撮りきったかなと思ったらもう一度入ってもらうみたいな、そういう(○○でした)。

中島:(日本語で)その挑戦したことのないことに挑戦できることはすごく楽しかったですし、もちろん。本当に泡吸い込んじゃって咳き込んじゃったりして、すごい大変な瞬間とかはあったんですけど、でもその難しさ、難しいことにチャレンジしているということが、すごく楽しかったですし、(○○)誇らしいというか、(○○でした)。

司会:泡には何が入っていたのですか?

監督:あれはカプチーノコーストって言うんですかね、こっちだと。波の花っていう、カプチーノコーストですかね。有機物と化学反応で起こるという設定です。

 

司会:携帯電話を使ってその画面を見せるのに、どれくらい考えて、労力を注ぎましたか。

監督:そうですね。それはかなり時間をかけて、で、この映画中盤はもう彼が携帯をいじっているっていうのがしばらく続きますが、そこで映画がダレてしまうのは(○○だと)思ったので、そこでいかに面白く見せるかっていうのはかなり工夫して、いろんな思いつく限りのことをやりましたね。

 

記者D:すみません、2度目ですけれども。中島さんの英語が流暢なのにすごく驚いたのですけれども、海外作品とかに参加したいという(○○)があるのか、またその意味で言うと今回ベルリン出たということは、1つ大きな転機と考えていますか。

中島:(日本語で)そうですね、英語まだまだ全然なんですけれども、せっかくこういう機会をいただきまして、ベルリンに来られるなんてしかも国際映画祭で来られるなんて思ってもみなかったですから。もともとその英語をやり始めたきっかけっていうのが、そういう海外の仕事に憧れがあったからなので、ゆくゆくは海外の作品だったりとかっていうのにも、意欲的にチャレンジしたいと思いますね。

記者:(拍手)

中島:Haha. Thank you.

 

司会:歌手としてのキャリアを持つ日本でも、俳優としての仕事を好きなだけできることになっているのですか。*7

*7 "And even in Japan, does your career as a singer, and are you to work as much as you like an actor?"ストリーミング同様、イヤモニに別言語の通訳が突然入ってきたので戸惑われている様子でした(イヤモニを急いで外しています) 個人的にも、司会の方の質問に対する理解が不十分です

中島:(日本語で)そうですね。(英語で)今のところは、自分がやりたいことはできると思います。私の事務所はやらせてくれます。なので、それはとても素晴らしいことですし、自分にとって演じるということが無ければ私の人生はつまらないものになると思います。もちろんアイドルでいることも好きですが......でも演じることも好きです。さらに今回の川村は、特に感情を突き動かされたときに、暗い感情やむき出しの本能を露わにします。このような役を演じたことは無かったので、非常にやってみたかった役でした。この役を演じることができて、本当に嬉しいです。

(原文:So far, I think I can do what I want to do, and my agency let me do [it]. So, it's really a wonderful thing for me, and for me,  without acting, my life would be boring. Of course I like being an idol, but I really like acting. And acting gives me the feel like um... you can be a different person; totally different person. And also this time, Kawamura has dark emotion, or true nature especially when he is driven. I never played a role like this, so I really wanted to try it. I'm really happy to play in this roll.)

 

司会:(記者Aに対して)どうぞ、3度目の質問ですね(笑)

記者A:ありがとうございます。

中島:(日本語で)すごい質問してくださる(笑)

記者A:本当にありがとうございます。監督に質問したいことがあったので。男は穴が1メートル半だと言いますが、監督である貴方にとって、この狭い空間の中で撮影にあたって、大変だったことは何ですか。

監督:かなりチャレンジングな撮影でしたし、今まで撮ってきたタイプの映画だと芝居というか俳優の感情を引き出せば、それを撮ればいいと思ってたのですが、今回そういう訳ではなくて、全て計算して映像を撮っていかなきゃならなかったので、それは撮りながらチャレンジでしたが、(○○)手ごたえを感じました。

 

司会:助演を務める役者の方々は、どのようにキャスティングしたのですか。

監督:もちろんプロデューサーと相談しながら、候補の中から選んでいったという感じですかね。

 

記者A:(画面外で手を挙げる)

中島・監督:(笑)

司会:では最後の質問権はファンクラブのトップに(笑)*8

*8 "The head of the fan club can have the last one" めちゃめちゃ面白かったので原文も是非......トップオタク(TO)おじさま......

記者A:普段どのような歌を歌っていて、世界のどのような楽曲が好きなのか教えてください。

中島:(日本語で)難しい、何て言うんだろう......。(英語で)日本ではアイドルをしているので、普段はアイドル曲を歌っています。ですが......[指で強調しながら]いわゆる「アイドルらしい」曲だけではなくて、ジャズやロックといった、様々な分野の曲に挑戦していたいと考えています。普段はロックを聴くことが好きで、日本ではB’zRed Hot Chili Peppers、[海外だと]MR.BIGなど......好きなアーティストが数えきれないくらいたくさんいます。

(原文:As my career I'm a pop-idol in Japan, so we usually perform those kind of songs from idol. But ummmm.... not only "idol" songs, we want to try tons of varieties of songs like not only pop but also jazz, rock, those kinds of things. But usually really like listening to rock, like in Japan, B'z, Red Hot Chili Peppers, and MR.BIG... I can't count because I have tons of favorite artists.)

 

司会:ここで一旦お別れとなりますが、ご参加いただきありがとうございました。ベルリナーレ・スペシャルでの今夜の上映をお楽しみください。ありがとうございました。

(中島:俺でよかったのかな、最後......(笑)

日本のアイドル・中島裕翔 彼にとって「#マンホール」は「俳優としての成長を魅せるチャンス」だという-ベルリナーレ・スペシャル

本ページはこちらの記事の個人和訳です。

variety.com

 

原文の意図などを完全には汲み取れていないことをご承知置きください。

 

日本のアイドル・中島裕翔 彼にとって「#マンホール」は「俳優としての成長を魅せるチャンス」だという-ベルリナーレ・スペシャ

 

ベルリン国際映画祭のベルリナーレ・スペシャル部門は、メインの競争部門や映画祭のサイドバー*1には芸術性が届かないものの、鋭敏さを持ち合わせている作品を紹介する場である。また、英語以外の言語の映画を紹介することで、「自国市場で人気を博しているが、海外の中核市場ではあまり知られていない」パフォーマーにとって、1つの跳躍台ともなっている。

*1 勉強不足ですが、ベルリン国際映画祭はメインのコンテストのような部門(=Competition)、それ以外の部門(=Sidebar: Panorama, Homageなど)から構成されていて、ベルリナーレ・スペシャル部門はその名の通り特別な枠のようです

日本の中島裕翔はこの説明に完璧にフィットする。彼は2つのキャリアを持っている:男性アイドルグループHey!Say!JUMPの一員として、また、10年以上俳優として。俳優としての彼の経歴には、アメリカのヒットシリーズ「Suits」の日本リメイク版のマイク・ロス役が含まれている。彼がアイドルとして、熱狂的で若い人々に支持される立場にいるということは、「演じる役を慎重に選ばないとならないということ」を、”本来は”意味する。

だが中島裕翔は、「#マンホール」(主演が映画を丸ごと牽引しなければならず、かつ彼のイメージと反するネガティブな感情を露わにしなくてはならない)の主役を演じるチャンスに飛びついたとVariety誌に話した。

 

「何故『#マンホール』に出演することを決めたのですか。」

15年の間、若い男性を演じた期間を経て、とても暗い感情を持ったネガティブなキャラクターを演じたいと思いました。私はこの作品に関するお話を、まず最初にプロデューサーから伺い、台本を読んだ時には非常に圧倒されました。「#マンホール」というタイトルが全てを語っています。基本的に狭い空間でのワンシチュエーションで、難しい挑戦になることはわかっていましたが、だからこそ挑戦する価値がありました。

 

「あなたのキャラクターは映画のほぼ全てのシーンに登場していて、飛びぬけて重要な人物ですよね。普段たくさんの映画に出演している訳ではない人にとって、かなりの跳躍だと思うのですが、これほどまでに内容の重い役に対して、どのように準備しましたか。」

実はテレビドラマの撮影で忙しかったため、この映画の役のための準備期間は理想よりも短いものでした。なので、マンホールに落ちる前後の主人公の感情や、彼の日常と、その後に起こる出来事の対比に注目し、とにかく集中しました。

この映画は、私たちが日常生活で経験しないようにしているネガティブな感情を非常にたくさん表現していて、これが思ったより難しく感じました。この物語はマンホールの狭い空間で繰り広げられるため、暗く、[もう一度ストーリーを説明する]、限られた時間枠で進みます。普段、このような作品は観ませんし、日本で作られているのをそれほど見かけることもありません。*2

*2 原文は"I don't usually watch this kind of movie and I don't see many like it being made in Japan"です 「【私は】このような映画は普段観ない+このような作品が【日本で】作られているのも見ない」とも、「【日本では】普段、このような作品は観ない+このような作品が【日本で】作られているのも見ない」とも捉えられる気がします 英語的には前者の方がしっくりくるのですが、裕翔くんのこれまでのインタビューを見る限り「ご本人がこういう映画をあまり観ない」というのは違う気もする......曖昧ですみません......

 

「あなたは2004年にジャニーズ事務所に入所し、2008年にデビューしたのですね。お芝居があなたにとって大事だと判断したのは、いつなのですか?」

実は10歳か11歳の時からたくさんの役を演じてきましたが、まだ学生だったこともあり、その中でどうするのかということをそれほど考えていませんでした。ですが、「理想の息子」[日本テレビ系][2012より]に出演した時にガラッと変わりました。のちに「Suits」で賢い偽装弁護士役を演じたときには、[役を演じ切るために]原作シリーズのすべてのエピソードを視聴するようにしました。

 

「演技と歌唱の双方に適応することはできているのですか?」

演技と歌唱はかなり違いますが、お互いがうまくバランスを取っています。ステージでの私の役割は、ファンの前で輝くことです。それに対して「#マンホール」のようなお芝居の役では、より感情の芯の部分に集中しなくてはなりません。*3

*3 原文は"I have to focus much closer to home" 自分のパーソナルな感情に関連付けて、みたいなイメージだと思います 理解が浅くてすみません

 

「音楽活動では若いファンに非常に特化していると思いますが*4、これから年を重ねるにつれて、演技のお仕事はもっと増やしていくのですか?」

そうですね。それでも両方をやっていたいです。ですが、音楽活動を同じくらい充実させつつも、より規模の大きい役を是非やってみたいです。今準備している、次の役柄についてはまだお話しすることはできませんが、「ジョーカー」のような役やサイコパスなどを演じてみたいです。

*4 原文は"With music so focused on young fans, is acting something that you will do more of as you get older" 「音楽活動が若いファン向けに特化していること」、それに対して「今後年を重ねることで演技仕事をもっとするようになるのか?」ということを指していると思いますが、上手く訳せないです 現地記者と日本人ではアイドルの印象も違う気がします

 

「そのような役によって、音楽活動のファンに影響を与えてしまう心配はありませんか?」

「#マンホール」の主人公のような役を経験した今、もっといろんな役に挑戦したいです。自分のいろいろな面を自分のファンに見せられるように、なんでもできるということを見せるために。

 

「この映画とともにベルリンに出向くにあたって、何か楽しみなことはありますか?

観客の多様な反応を体感するのが楽しみです。ヨーロッパでは、日本の音楽シーンへの馴染みが無かったり、私がアイドルだということを知らなかったりすると思います。代わりに私のことを、このネガティブで暗い役柄を通してみることになるでしょう。とても楽しみです。